2005年の遺伝子組換えイネ野外実験差止め訴訟の中で、遺伝子組換えイネからディフェンシンという抗菌ペプチド(たんぱく質)が検出されたかどうかが争点となり、これを検証する実験を実施した。 以下は、その実施結果をどう「評価」するかという問題に直面したときに、その評価方法の基本・原理について、福岡伸一さんが提示してくれたコメント。
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実験とは何か(原理的考察)
2008年11月30日
1、自然界には観察しているだけでは分からないこと(現象)がある。
2、そこで、その自然現象に何らかの介入を行ったときにどういう結果が得られるかを見るのが実験である。
3、だから、実験では、必ず、自然現象に対して介入しているという操作が加わっているので、介入の仕方と実験結果の関係というものをよく見極めておかなくてはいけない。
4、それから、実験の結果というのは、実は、「ディフェンシンが検出された」という風には人間の目には見えない。「ディフェンシンが検出された」というのは言明であって、実験結果ではない。
5、実験結果として我々人間の目に見えるのは、こういうバンドが見えたとか見えなかったとかであって、事象とか現象とか色の変化とかそういうもので見えるだけなので、この実験結果として私はディフェンシンですと主張している訳ではない。
6、「ディフェンシンが検出された」というのは、言明というか一種の価値判断であって、それと実際に起こっていること(=実験結果)とを区別しなくてはいけない。
7、それから、或る仮説に基づいてこういう結果が得られる筈だと考えて実験を行なったときに、そういう仮説に基づいて予測した結果とは違う予想外の結果が現れることがよくありますが、そのとき、仮説がそもそも間違っているから現象としてそういうことは起きていないので、予想とはちがう結果が出たのか、それとも仮説は合っているのだけれど、その実験の手続が適切でないのでそうは見えないのか、実験が予想通りにうまく行っていないことからだけでは区別できない、という非常に大きな問題がある。
8、以上のことを念頭に置いて個別の検討をする必要がある。
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